断熱材の種類による違いは何?それぞれの特徴と選ぶ基準

築古の住宅は断熱性が低かったり、無断熱の場合もあったりしますが、健康で快適な生活空間を追求するためには、住宅と断熱は切っても切れない関係にあります。
特に健康面において、断熱と飲酒、運動、喫煙の健康改善効果を比較した調査結果では、どの症状においても断熱が最も健康改善に貢献するという結果となっており、住宅の断熱性は健康な暮らしに重要です。
住宅にとって必要不可欠な断熱性ですが、使われる断熱材にはさまざまな種類があり、それぞれの特徴を知っている人は少ないのではないでしょうか?
今回は、快適な住宅にするために、断熱材の種類やそれぞれの特徴についてご紹介します。

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断熱材とは?

断熱材とは、熱を伝えないように作られた材料のことをいいます。
断熱材や断熱性の高い窓などを住宅に使用することで、外気温の影響を防ぎ、室内の快適性や省エネ性を良くすることができます。
住宅に使われている断熱材は大きく「繊維系」「天然素材系」「発泡プラスチック系」の3種類に分類され、その中でさらに細かく枝分かれします。

繊維系

繊維系の断熱材は鉱物や紙などを溶かして細かな繊維状にし、繊維の隙間に空気を閉じ込めた断熱材です。
繊維と繊維の間に空気を閉じ込めることで断熱効果を生み出します。
使われる素材によって「無機系」と「木質繊維系」に分かれます。

発泡プラスチック系

発泡プラスチック系の断熱材は、石油からつくられるプラスチック素材を発泡させて細かい気泡を作り、中に空気を閉じ込めた断熱材です。
高性能品の中には、空気の代わりに断熱性の高いガスを閉じ込めたものもあります。
断熱性が高く施工がしやすい、湿気に強いなど多くのメリットがあることから、現在では多く利用されている断熱材です。

天然素材系

天然素材系の断熱材は、自然由来の天然素材を利用した断熱材です。
調湿性能が高く、環境にやさしい素材で作られており、健康面にも配慮ができます。
しかし、断熱性能はあまり高くなく、コストが高いものが多いです。

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断熱材の種類

無機繊維系

・グラスウール

グラスウールは、木造住宅で最も使われてきた断熱材です。
ほかの断熱材と比べて断熱性能が高いわけではありませんが、資源ゴミを利用したリサイクルガラスを使っているものが多いため価格が安く、軽量でコストパフォーマンスに優れます。
グラスウールにもグレードがあり、繊維密度が濃く厚みがあるものを選ぶことで断熱性能はアップします。
また、原料がガラスであるため燃えにくく、シロアリなどの被害を受けにくい点もメリットで、防音効果もある断熱材です。
ただし、グラスウールは湿気に弱く、水に濡れると断熱性能が下がり元に戻りません。
また、湿気を含むことでグラスウール自身が重くなって下にズレ落ちてしまい、断熱機能が失われてしまったり、カビや木材腐朽菌が繁殖してしまう可能性があるため、しっかりとした湿気対策を施す必要があります。

・ロックウール

ロックウールは、鉱物を綿状にした断熱材です。
鉱物を原料としているため、グラスウールと同様に燃えにくく、害虫にも強い断熱材で、撥水性、防音性にも優れます。
価格も比較的安いため、ヨーロッパではグラスウールよりもロックウールの方が広く使用されています。
グラスウールと違い、湿気には強いですが綿状のためどうしても湿気対策が必要となります。

木質繊維系

・セルロースファイバー

セルロースファイバーは、パルプと言われる古紙を主原料とした断熱材です。
リサイクルしているため環境に優しく、調湿性に優れていて、ホウ酸や難燃剤を混ぜ込んで作ることで耐火性や防虫効果にも優れています。
ただ、セルロースファイバーは施工方法が特殊で、専門の会社に依頼しなければならないためコストがかかります。
また、リフォームに使用する断熱材としては向いていません。

・インシュレーションボード

インシュレーションボードは、木材を細かく粉砕して接着剤や撥水剤などを混ぜ込んで加熱処理し、ボード上に成形した断熱材です。
廃材などの木材を利用するため、環境に優しく、調湿性・吸音性に優れており、加工や施工がしやすく耐久性にも優れた素材です。
ただし、価格は比較的高めで、原料が木材のためシロアリに弱く、耐火性能も高くありません。

発泡プラスチック系

・ビーズ法ポリスチレン

ビーズ法ポリスチレンは、一般的に知られている発泡スチロールを用いた断熱材です。
発泡粒子と呼ばれる白い粒子の集まりで形成されており、原料となるポリスチレン樹脂をビーズ状にし、数十倍にも膨らませたものに空気が閉じ込められています。
英語で「Expanded Polystyrene」と言い、「EPS」と呼ばれます。
発泡プラスチック系の中では低価格で、水に強く、軽くて柔らかいため容易に加工できる特徴があります。
ただし、断熱性能は無機繊維系と同程度で、価格は無機繊維系より割高となる点、熱に弱いため防火性に不安がある点などのデメリットがあります。

・押出発泡ポリスチレン

押出発泡ポリスチレンは、ポリスチレンを溶解して発泡剤や難燃剤を混ぜ、連続して発泡させてボード状に押し出して成形する断熱材です。
英語で「Extruded Polystyrene」と言い、「XPS」と呼ばれます。
軽量で加工や施工がしやすく、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドを含んでいないため安全性にも優れています。
EPSよりも断熱性に優れており、安価ですが、熱に弱いため防火性に不安があり、経年劣化の可能性がある点に注意が必要です。

・硬質ウレタンフォーム

硬質ウレタンフォームは、ポリイソシアネート、ポリオールを主成分とし、発泡成形したスポンジ状の断熱材です。
工場でボード状に作られたものと、現場で吹き付けて使うものの2種類のタイプがあります。
小さな硬い泡の集合体でできており、この中に熱を伝えにくいガスが封じ込められているため、優れた断熱性能を備えていて、耐久性、防音性、透湿性にも優れています。
近年ではノンフロンガスを使用し、ホルムアルデヒドの発散もないため安全性にも優れていて、吹き付けることもできるため、断熱リフォームにも利用されます。
デメリットは、価格が比較的高いこと、万が一燃えてしまった場合には有毒ガスが発生するリスクがあることです。

・フェノールフォーム

フェノールフォームは、フェノール樹脂に発泡剤、硬化剤などを加えてボード状に成形した断熱材です。
耐火性優れ、燃えたとしても有毒ガスがほとんど出ないため、不燃・準不燃材料の認定を受けています。
微細な気泡に高断熱ガスを密閉することで熱伝導率がとても低く、高い断熱性能と経年劣化が少ない素材です。
デメリットは、価格がとても高いこと、防虫効果がないこと、水に弱いことです。

天然素材系

・羊毛

羊毛は昔から利用され、衣類や布団などにも使われている素材です。
天然素材のため有害物質の飛散が少なく、羊毛の細かな繊維が絡まり合うことで高い断熱性と湿度を一定に保つ調湿性能を有し、難燃で吸音性に優れています。
また、人にも地球にもやさしい安全な防虫対策が施されているものが多く、防虫効果は半永久的に持続すると言われます。
ただし、国産の羊毛はほとんどなく、海外からの輸入品となるため、価格は他の断熱材と比べると高くなります。
断熱性能もそれほど優れてはいません。

・炭化コルク

炭化コルクは、ワインなどに使用されているコルク樫を炭化させた断熱材です。
コルク内にたくさんの空気が含まれているため、断熱性だけでなく、防音性・調湿性・防虫性に優れています。
端材を利用した100%天然素材で、接着剤不使用のものが多いため環境に優しいですが、価格は高くなってしまいます。

断熱材吹付けウレタン

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断熱材の種類を選ぶ基準

断熱性能

断熱材で最も重要なのは、断熱性能です。
熱伝導率が低い素材ほど断熱性能は高く、使う断熱材の厚みによっても変わってきます。
断熱性能が高い断熱材は発泡プラスチック系で、特に高いのは硬質ウレタンフォーム、フェノールフォームになります。

価格

断熱材によって価格がどのくらいになるのかも重要なポイントです。
とにかく安価な断熱材を選びたいという場合は、無機繊維系のグラスウールやロックウールなどが選択肢となります。
ただ、断熱性能が低い断熱材ほど、住宅の光熱費などのランニングコストが高くなる可能性があるため注意しましょう。

断熱材グラスウール

まとめ

冬暖かく夏涼しい、健康で快適な住まいを築くためには、断熱性はとても重要です。
断熱材には複数の種類があり、お住まいの環境によって断熱材を選ぶ基準や優先順位は変わってきます。
断熱材を選ぶ基準には価格や性能、付加効果などさまざまありますが、断熱性能は最も重要になります。
お住まいの環境に合った断熱材を、きちんと施工してくれる会社を選びましょう。


大栄建設では、健康をコンセプトに国産木材や自然素材にこだわり、全棟耐震等級3、長期優良住宅、パッシブデザイン、高気密・高断熱・省エネ住宅の設計・施工を手掛けており、『完全自由設計の注文住宅』、規格住宅『TRETTIO』、建て替えよりもコストを抑えた『フルリノベーション』をご用意しております。
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